大阪高等裁判所 昭和51年(ネ)2401号 判決 1978年7月26日
第一審原告(昭和五一年(ネ)第二四〇一号事件被控訴人
昭和五二年(ネ)第五四号事件控訴人)
北豊二
右訴訟代理人
柳田守正
外四名
第一審被告(昭和五一年(ネ)第二四〇一号事件控訴人
昭和五二(ネ)年第五四号事件被控訴人)
北善次郎
第一審被告(昭和五二年(ネ)第五四号事件被控訴人)
北文子
右両名訴訟代理人
宮後恵喜
深草徹
主文
一、本件各控訴をいずれも棄却する。
二、昭和五一年(ネ)第二四〇一号事件の控訴費用は第一審被告北善次郎の、昭和五二年(ネ)第五四号事件の控訴費用は第一審原告の各負担とする。
事実
<前略>
二、第一審原告は、予備的請求原因として「一、第一審被告善次郎は第一審原告に対し昭和五〇年三月一六日本件二口の貸金元利金合計額、即ち、元金計五〇〇〇万円、利息月三分の金員を支払うことを承認した。二、よつて、同原告は同被告に対し債務承認契約に基づきその支払を求める。」<中略>と述べた。<後略>
理由
<前略>
四第一審原告の予備的請求原因について検討するに、およそ法律行為、とくに出捐行為にはその原因ないし目的が必要とされるのであるから、原因の成否を問わない単純な無因の支払約束ないし債務承認契約が成立するためには、両当事者が他の債務の効力と関係なく単純に独立した債務を成立させる意思、即ち、いわゆる無因意思を有し、その合意が必要であると解すべきところ、第一審原告は右無因意思存在の事実を主張しないし、本件全証拠によるも両当事者が本件貸金の存否にかかわらず、金五〇〇万円の支払約束ないし債務の承認契約をする無因意思を有し、その合意があつたことを認めるに足りないから、右主張も失当である。<後略>
(下出義明 村上博巳 吉川義春)